血が濃いねぇ
例によって無駄な長文です。私は猫の繁殖者でもなければ、生物学者でも、数学者でもないので、間違いがあるかも知れません。
親戚探しのページを見ていると、血の濃い仔が結構たくさんいる。お祖父さんとお父さんが同じ猫とかは、よくあることで、家系図内に
同じ猫ちゃんが何度も登場する猫ちゃんが多い。「これってアリなのかなぁ」っていうのが正直な感想。
私はブリーディングに関しては全くの素人ではあるが、やはり近親交配はよくないんじゃないかってゆーか、素人ブリーダーが多すぎるじゃねぇ?って気がしてならない。
中にはやっちゃいけないとされる、折れ耳同士のスコティッシュをかけたような雰囲気の家系図もあるし。
そこで、近親交配は危険だ、危険だと言われるけど、実際、近親交配がどれくらい危険なのか気になったので計算してみることにした。
仮定
例えば、ある雄猫が優れた毛並みでそれが、劣性遺伝する遺伝子aによるものであるとする。
もちろん、この世の中でその遺伝子aを持つ個体は非常に稀なので、上手く交配してこの毛並みをまた発現させたい。
一方で、どんな健康な猫にも隠れた遺伝的な欠陥がある。つまりは劣性遺伝する病気で、その保因者という場合を考える。
つまりbbになると発病するが、Bbだと病気にはならないという病気だ。ヒトであっても、こういう隠れた遺伝病というのは
軽度のものまで含めると誰でも数個〜10個くらい持っているということを聞いたことがある。もちろん病気の程度もいろいろだろうけど
以上のことをふまえて、
・優良率:優良な毛並みが発現する確率
・発病率:隠れた遺伝病Bが発病する確率
・発病5率:隠れた遺伝病が5個あった場合、どれかが発病する確率
を計算してみた。
もちろん、遺伝はメンデルの法則に従い、突然変異など考慮しないし、各遺伝子はお互いに独立で、常染色体上にあるとし、
猫の成長・生殖などには一切影響しない。もちろん、その1匹をのぞいては全てあかの他人の猫(しかも遺伝的にも全く欠陥がない猫)をランダムに交配した
という簡単なモデルだけど。
計算はエクセルで20分くらいでやったので間違っているかもしれん。(検算してないし。)
結果
| 優良率 | 発病率 | 発病5率 |
父と母方の祖父が同一の場合 | 50% | 13% | 49% |
父方の祖父と母方の祖父が同一の場合 | 25% | 6% | 28% |
父と母方の曾祖父が同一の場合 | 25% | 6% | 28% |
父方の祖父と母方の曾祖父が同一の場合 | 13% | 3% | 15% |
父方の曾祖父と母方の曾祖父が同一の場合 | 6% | 2% | 8% |
父方の高祖父と母方の高祖父が同一の場合 | 1.6% | 0.4% | 1.9% |
隠れた遺伝病が発現する確率なんて、通常は0.01%もないとされるから、上の値はどれもかなり高い。
それに、純血種の場合は既に血が濃くなっているので、発病率はさらに上がると考えていい。
ざっとみると、発病5率は優良率とほとんど変わらない、むしろ高いくらいという結果がでた。これは、なんか常識的に考えると
非常に意外な結果だが、「優良な毛並みを再現しようと近親交配すること」は、
「何らかの隠れた病気を引き起こそうとすること」と全く同じってことだ。
素人ブリーダーへお願いしたいこと
上の結果を考えると、ただ何となく素人考えで交配するのでは、不幸な猫ちゃんを生み出してしまう。
ちゃんと繁殖する場合は、いかに保因している劣性遺伝子を見抜くか、眼力が問われるのだろう。
血統書のついている猫を漫然と繁殖させるだけで、ブリーダーと名乗っている素人ブリーダーの方は、このことをちゃんと認識して、ちゃんと知識を身につけていってもらいたい。
ちなみに、保因している劣性遺伝子を見抜くのは不可能に思えるが、遺伝子座の近い別の遺伝子の発現を調べることで、
経験則に近いものであるが、ある程度は可能と思う。例えばスコの折れ耳は、関節の遺伝病を起こしやすいというのも、
この1例だろう。
いいブリーダーさんというのは、こういう知識と経験の積み重ねで、絶妙な交配を重ねているに違いない。
ちなみに、希望があれば、100%猫の登録データを使って発病率を計算するページを作ることも可能だけど、どうしようか?
ただ、計算結果がどうであれ、愛する猫ちゃんは変わらないし、生まれてきた猫は悪いわけでもない。その命に優劣があるわけでもない。悪いのは繁殖させた人間だ。
いつものことながら、真面目にやっているブリーダーさんには、いい迷惑な話だったかもしれません。先に謝っておきます。ごめんなさい。
特にこのサイトに登録される猫ちゃんはペットショップなどから買ってきた猫ちゃんが多いので、適当に交配された猫ちゃんがいるのだと
思います。でも、どうしても気になったので、こういう文章を書きました。